NEWS

エルメスのシルバージュエリー シェーヌダンクルの誕生と工房の刻印を読み解く

エルメスのジュエリーは1927年に始まりました。馬具工房として創業したメゾンらしく、馬具や船の鎖から生まれたデザインが多く、なかでもヴィンテージのシルバーは国内外のコレクターに求められています。

この記事では、エルメスの公式情報に加えて、フランスのオークションの資料と政府の刻印制度をもとに、シェーヌダンクルの誕生、エルメスのシルバーを作ってきたパリの工房、刻印の読み方、市場で出会うことの少ないモデルまでをまとめました。

■1927年に始まったエルメスのジュエリー

エルメスは1837年、馬具職人のティエリ・エルメスがパリに開いた工房から始まりました。当店で扱うティファニーも、同じ1837年の創業です。

ジュエリーを手がけるようになったのは1927年で、エルメスによると最初の作品はフィレ・ド・セルと呼ばれるブレスレットでした。その後も、1946年に馬具に着想を得たブックル・セリエ、1949年に犬の首輪を意味するコリエ・ド・シアン、1971年にジャン=ルイ・デュマが乗馬から着想を得たナウシカと、馬具や身近な道具をもとにしたデザインが続きます。

■シェーヌダンクルとロベール・デュマ

1937年、ノルマンディーの海岸を歩いていたロベール・デュマは、船をつなぎとめる錨の鎖に目をとめました。そこから生まれたのが、フランス語で錨の鎖を意味するシェーヌダンクルで、1938年に最初のシルバーのブレスレットが作られています。デュマはエミール・エルメスの娘婿で、1951年からメゾンを率いた人物です。同じ1937年には、エルメス最初のスカーフもデザインしています。

ブレスレットは1コマの大きさでTPM、PM、MM、GM、TGMに分かれ、同じサイズでもコマ数で長さが変わります。小さな楕円のコマの間に大きさの違うシェーヌダンクルのコマをはさんだファランドール、2017年にピエール・アルディが発表したパンクなど、派生したデザインも数多くあります。

■エルメスのジュエリーを作ってきたパリの工房

ヴィンテージのエルメスのジュエリーには、HERMÈSの名とあわせて、製作を担った工房の刻印が打たれているものが多くあります。シェーヌダンクルが生まれた1938年、チェーン工房ランファンを経た職人ガエタン・ド・ペルサンは、ロベール・デュマと仕事をするために自らの工房を開き、製作者の刻印G.Pを作りました。フランスのオークションの資料では、この協力からエルメス最初のシルバージュエリーのコレクションが生まれたと紹介されています。工房には1962年から息子のオリヴィエが加わり、2003年まで続きました。

ゴールドの作品では、1899年創業のジョルジュ・ランファンが知られています。カルティエやヴァン クリーフ&アーペルの作品も手がけたチェーンの名工房で、1909年に登録したGLの頭文字に翼などを組み合わせた刻印を使っていました。フランスのオークションでは、エルメスのためのランファンを意味するジョルジュ・ランファン・プール・エルメスの名で紹介されます。このほか、1830年創業のクリストフォルも、CFの刻印でエルメスのジュエリーを手がけていました。

■刻印で読む年代と工房

フランスで作られた銀製品には国の検査を示すミネルヴァの頭が打たれ、小さな作品には蟹の刻印が使われることもあります。金製品には鷲の頭が使われます。銀の第一の基準は、1972年の法改正で950から925に改められました。それ以前のフランス製のシルバーは950か800で、初期のエルメスには800のものも見られます。925の表示があるフランス製のものは、おおむね1973年以降の作と考えられます。

ひし形の枠の刻印は、製作者がフランスの検査機関に登録したもので、名前の頭文字と固有の図柄が入ります。G.Pならペルサン、GLに翼などの図柄ならランファン、CFならクリストフォルと、工房までたどることができます。輸入品の責任者の刻印は楕円の枠です。

工房の刻印は評価にも表れます。2025年4月にパリ市の公営質屋クレディ・ミュニシパル・ド・パリが行った競売では、ペルサンの刻印があるシルバーのシェーヌダンクルのブレスレットが、予想価格500〜700ユーロに対して3,000ユーロで落札されました。2021年には、ランファンの刻印があるゴールドのシェーヌダンクルのブレスレットが、アメリカのオークションで予想価格8,000〜10,000ドルに対して23,750ドルで落札されています。

なお、2001年の制度改正で、30g未満の銀製品と3g未満の金製品は国の刻印を省けるようになったため、軽い作品には国の刻印がないこともあります。また、現行品にはフランス製とイタリア製があり、エルメスの公式サイトでも製造国が分けて表示されています。

■2001年からのピエール・アルディ

1990年からエルメスに携わってきたピエール・アルディは、2001年にジュエリーのクリエイティブ・ディレクターに就き、2010年にはエルメス初のハイジュエリーのコレクションが発表されました。2006年に登場したアレアは、シェーヌダンクルやブックル・セリエ、ダリウスなどのコマを組み合わせたアルディのブレスレットです。

ヴィンテージを選ぶときは、2001年より前のデザインか、アルディが手がけるようになってからのデザインかを意識すると、エルメスのジュエリーの流れが見えてきます。

■市場で出会うことの少ないモデル

アクロバットは、洋なし型の大ぶりなコマを連ねたブレスレットです。2006年秋冬の1シーズンだけ販売されてすぐに完売し、2020年ごろまでは特別な顧客向けのオーダーも受けていたとされるモデルです。サイズはGMとMMの2つで、すべてのコマが取り外せるため、自分で長さを調整できます。ペルサンのシェーヌダンクルと同じ2025年4月の競売では、取り外せる19コマと留め具のコマからなるアクロバットが、予想価格1,200〜1,800ユーロに対して21,000ユーロで落札されました。

ダリウスは、角を落とした長方形のコマを連ねた2000年ごろのブレスレットで、そのコマはアレアにも使われています。

当店では、このアクロバットとダリウスを扱っています。どちらもフランスで作られ、HERMÈSのロゴとAg925、ミネルヴァの頭、ひし形の製作者の刻印が打たれています。

■選ぶときのポイント

まずは刻印です。HERMÈSのロゴと素材の表示に加えて、フランス製であればホールマークと製作者の刻印も確かめましょう。刻印の基本は、こちらの記事でもまとめています。
https://rorn.shop/news/6acf247550d3810956f15cfe

次にサイズです。エルメスのリングのサイズは内周の長さをミリで表したもので、50なら内周約50mm、日本の約10号にあたります。ブレスレットはコマ数と内周を確認しましょう。当店ではサイズ直しを承っていないため、商品詳細のサイズをご確認ください。

そして状態です。長く使われてきたヴィンテージには、擦れや小傷があるのが普通です。当店では、すべての商品に5段階の状態ランクと検品結果を記載しています。ランクの基準は、こちらの記事でご案内しています。
https://rorn.shop/news/6abf6787a60363db46034d14

■rorn.shopのエルメス

当店では、ティファニーとあわせて、エルメスのヴィンテージジュエリーも扱っています。定番のデザインだけでなく、市場にあまり出てこない希少なモデルもご紹介しています。商品はすべて鑑定済みで、刻印と状態を1点ずつ確認しています。万一、正規品でないことが判明した場合は、ご購入代金を全額返金いたします。

エルメスの入荷は不定期で、同じものが二度と入らないことも多いので、気になる商品があれば、お気軽にお問い合わせください。

  • 【10号】エルメス ヘラクレス リング K18WG ヴィンテージ|HERMÈS 18K White Gold Herakles Ring #50

  • 【374万円・税込】エルメス アクロバット ブレスレット MM 19コマ シルバー ヴィンテージ|Hermès Acrobate Sterling Silver Bracelet

  • エルメス ダリウス ブレスレット シルバー ヴィンテージ|Hermès Darius Sterling Silver Bracelet